
「カレーと麺」
カレーうどんという食べ物があります。
カレーライスという国民食を更に推し進めた日本固有の文化。インドのお釈迦さんが開いた仏教が日本でその風土と融け合ってアレンジを繰り返し、現在の最先端にある仏教系新興宗教。そんな例えさえ当てはまる、コンテンポラリーなファストフード。それが、カレーうどん。
となり町の本格的インドカレー屋さんがランチ限定で出していたカレーうどんを食したことがあります。
全ッ然、ダメでした。
ルーが本場インド、なのにうどんが冷凍丸出し。チンしたうどんをカレーにぶっこんだだけ。つまり、インド心は満載なのに、和の心が全く反映されていなかったの。頑張れ、横浜在住インド人。
カレーうどんの肝は、カレールーとお出汁の融合という、大胆な異種格闘技の奇跡的なハーモニーにあると考えるのですが、いかが。カレー&お出汁、両者を取り持つ、うどん。見合って見合って、はっけよい、のこった。さながらシルクロードの如くアジアを繋ぐ一本道、うどん。くんずほぐれつ繰り広げられる、小麦の化身たるうどんを介して広がる宇宙。必然的に、小麦粉でのばした昭和の家庭的なカレーが最も合うという結果に。カレーライスでは考えられない長ネギという具材が、極めて重要な役割を果たすことにあいなります。火を通したぶつ切りの長ネギに生の刻みネギをぱらぱらと。ナイス、長ネギ オン・ザ 長ネギ。香辛料の権化であるカレーに七味唐辛子をぱらぱらと。グレイト、スパイス オン・ザ スパイス。うどんをすすり終わって残ったお汁は、お茶碗いっぱいのご飯をぶっこんでカレーおじやに。ああ、お腹いっぱい。ああ、最高だ。冷たいお水をごっくん。すません、お勘定!ごっそさんでした!
カレーラーメンという食べ物もあります。
ラーメン。いうまでもなく、カレーと双璧をなす、原点を大陸とする国民食。
しのぎをけずるラーメン戦争のなか、2 大国民食をひとつのどんぶりに、という大胆な作戦にでるラーメン屋が各地で出没してまいりました。
これも、前述のカレーそばの如く、互いの長所を奪い合う結果とならなければ良いのですが…。心配してしまうのです。
が、一軒、すばらしい一杯を出してくれる店に出会いました。
その店は札幌郊外の、なんてことない住宅街にぽつんとあるちっちゃめで普通うぅのラーメン屋さん。
醤油ラーメンの上に、あんかけ状にとろみをつけたキーマカレーを乗っけるというスタイルをとっていたの。
それはどういうことか。
ただスープにカレーをぶっこむのではなく、ラーメンの上に別のおかずをかぶせる、という発想。天津麺とかマーボー麺とか、そう、サンマー麺とか。それによって、より麺に絡みつくおかずたるカレー。しかも、キーマすなわちひき肉をメインに持ってくることにより引き出される、担々麺感。
しかも、ひき肉をとろみで固定することによって、担々麺にありがちな、肉だけすぐどんぶりの底に…ああ食いづらい!という現象が起きにくい。麺にきちんと絡むひき肉のありがたさよ。横浜の担々麺は卵でぐわっと包むことによりその問題を回避していますよね。
担々麺とサンマー麺。どちらも横浜在住のあたしには身近な麺。知ってか知らずか両者の長所を活かして生み出された見事なカレーラーメン。遠い札幌の地であたくし、嬉しくて小躍り。心でね。
横浜でこのメニュー出したら、当たるんじゃないかしら。妙な野心が芽生えそう。いかんいかん、音楽頑張れ、俺。
